9月6日(土)に大鹿村鹿塩地区を中心に第5回「森の語りべ講座」を開催しました。
今回は、「大鹿村の巨樹・古木観察と歴史探訪」を題して、寺岡義治さんに中央構造線に沿った巨樹、古木をご案内して頂きました。
寺岡さんの説明では「下伊那竜東地域は、大鹿村分杭峠から飯田市南信濃の青崩峠を縦貫する中央構造線が、東西に地質、植生などを分けていると言われています。同じ樹種でも、東西で遺伝子が違うとされ、西形・東形との分類が始まっております」との事です。私たちの地域が、この様な多様性を持つ地域であることに感動しながら、1日観察会を行いました。
始めに鹿塩の「シラカシ」を観察しました。
「シラカシの巨木は、所有者の菅沼家のご先祖が植えたものと伝えられております。菅沼家では、この巨木を「森」と呼んでいます。森は「守」であり、根元には山の神が祀られ、水源である急峻な裏山に山崩れを防ぐ根を大地に張り巡らせて近くに湧き出す清水を守り、日々の生活を守っています」と寺岡さんの説明を聞いている時に菅沼さんもお見えになり和やかに談笑しました。
次に鹿塩塩泉院下の「サイカチ」を観察しました。
「地元ではセーカチと呼び、かつては、屋敷の近くに植え、莢(さや)を拾い集めて薬用として使ったりしました。戦後まで富山から薬屋さんが莢(さや)を集めにきたと言います。この木の所有者の松尾さん方では、代々この樹は屋敷を守っている樹だから絶対に伐採してはならないと伝えられてきたそうです。この樹は、36災にも言い伝えの様に屋敷を守ってくれたそうです」
次に鹿塩北川の「サワラ」を観察しました。
「天正年間に遠山土佐守が武田氏へ参勤の途中、この木の根元に弓矢を立てて祈願をしたと言われています」。
次に中央構造線北川露頭を観察しました。
また、分杭峠で話題のゼロ磁場の体験をしてきました。山の中の不便な峠にたくさんの人が集まっていました。
貸し椀の言い伝えがある大池で昼食を取った後、午後は、円通殿のイチョウと観音堂のアカマツの観察を行いました。
「「アカマツ」は、昔、ここを行き来する人々の休息の場所と言われています。この松にお願いすると子どもの夜泣きを治してくれると伝えられてきました。その昔、宗良親王の幼い姫君の夜泣きが止まらないのを土地の老人が、この松の葉を枕の下に入れる様に教えたところ、それ以降、姫は夜泣きをしなくなったそうです」。
寺岡さんのお話を聞きながら、地域を歩くと地域の人々は、自然と共に歩んできたことをひしひしと感じることができました。また、この講座に参加している中学生も他の大人との会話に加わりながら、一日を過ごしていました。
私たちの故郷は、こんなにも魅力がいっぱいだと言うことに気づきます。この魅力を次世代へ引き継ぐ事は、「地育力による学習」の大切な役割だと思います。
次回の「森の語りべ講座」は、「飯田市大平の東沢林道」を予定しています。
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