4.10.2009

『地育力どっとネット』がオープンしました。

地育力に関するWebサイト『地育力どっとネット』がオープンしました。
今後の記事は、地育力どっとネット内の「地育力ブログ」に掲載していきますので、よろしくお願いします。

「地育力どっとネット」へのアクセスは、下記URLからどうぞ
http://chiikuryoku.net/

3.31.2009

『やったー!ボクのちょうちんができたよ!』 ~まちかど博物館ちょうちん作り講座~

“手仕事の達人に弟子入り”第3弾『親子ちょうちん作り講座』が3月23・24日の両日開かれ、抽選で選ばれた5組の児童とお母さん・おじいさんが、初めてのちょうちん作りに挑戦しました。

講師は、長姫町の綿屋提灯店三代目の原章二さんと奥さんの久美子さんです。
まずは原さんから、提灯の材料や種類の話をお聞きしました。昔は材料の90%を飯田で仕入れることができたが、今では提灯和紙やひご、曲げ物(提灯の上下に付いているわっこの部分)を作れる職人さんがほとんどいないこと。お父さんの功美さん(二代目)の「なるべく安く作って、多くの人に提灯を使ってもらいたい」という願いを引き継ぎ、材料代が高騰するなか家族で力を合わせて値段を上げずに提灯作りをしていること。寒い雪の中で繰り返し、ていねいに作られる提灯和紙を例に挙げ、材料を無駄にすることなく使わせてもらって一つの提灯ができることなど、実物を見せてもらいながらお聞きしました。

子どもの頃はサラリーマンの家にあこがれたという原さん。ご自身が親となり子育てをするについて、“飯田のよさ”を感じられ帰郷、家業を継がれたそうです。代々受け継がれた手作りの道具を大切に使われる姿や言葉の端々に、先々代やご両親への尊敬の念がにじみ出て、作業場が温かな空気に包まれます。
受講者の皆さんは、身をのり出して材料を見たり、熱心にメモを取りながら、わからないことはその都度お聞きし、いよいよマイ提灯作りの始まりです。

【ひご巻き】
ちょっと力を抜くとパ~ン!!と全てのひごがはずれてしまうとあって、子どもたちは真剣です。あぐらをかいて力を加減しながら巻いていく子どもの傍らで、保護者の方々も息をつめて、日頃と違う子どもの表情に見入ります。巻き終わると参加者全員が「フ~!」っと力を抜き、巻いた子はバンザイした後、痛い指をさすります。


【紙張り】
ひごを糸で留めた後、タピオカ糊を使い、先々代のおばあさんの指の痕がしっかり刻まれたハケを使って糊を付けます。紙がずれてしまわないよう、塗りもれがないよう原さんに見守られながら、8枚の提灯和紙を貼っていきます。



【文字書き】
「どんな字を書こうか…」提灯を乾かしている間考えた子どもたち。自分の名前の一字や「夢」の字にすることに。「字を書くのがイヤなんだ!」「書道は嫌い!」という子も、久美子さんの認めの言葉に導かれ、力強い、個性的な字型ができました。字型を内側に張り、でこぼこした表面に筆を運ぶ子どもたちの目は、段々職人さんっぽくなっていきます。

【完成】
乾いた和紙のひごとひごの間に、和裁用のヘラで線を引き折り曲げ、原さんに付属の部品と手で持つ棒を付けてもらい完成!! 
どの子も「やったあ~!!」とうれしそう。できあがった提灯を手から離しません。



提灯作りを継ぐことになってから、言葉で教えてもらうことは一切なく、父の斜め後ろから見ながら提灯作りを覚えたという原さん。学生時代からバスケットボールを続け、現在もバスケットのプロリーグの審判員としても活躍されておられる原さんから
「見てコピーできる才能は大切である」
「何でも続けて欲しい」
と子どもたちにメッセージが贈られました。

子どもたちは、一日がかりの講座を通して、それぞれに“伝統文化のこと”“職人さんの思い”“手仕事の大変さ”を感じ、保護者の方に見守られ、原さんに助けてもらいながらも、自分の提灯を作り上げたという達成感を感じてくれたようです。
アンケートには「先生のおかげで、ぼくの良いちょうちんができました。本当にありがとうございました」という感謝の思いと共に、「手間がかかって大変ですが、これからもがんばってください」という、数少ない職人の皆さんたちへのエールが、多くの子どもさんから寄せられていました。

今回の講座の作品と原さんの提灯をはじめ、平成18年度から20年度の『親子体験講座』の受講者さんと職人さんの作品を下記の通り展示致します。是非お出かけください。

日時:4月7日(火)~4月12日(日)午前9時30分~午後5時まで
    ※7日は午後1時から、最終日の12日は午後3時までになります。

場所:飯田美術博物館 市民ギャラリー

内容:職人さんの紹介・作品展示等
     小笠原さん(曲げ物) 稲垣さん(機織り・染物)
     牧島さん(刺繍) 田中さん(裂き織り)
     松沢さん(布団) 原さん(提灯)  
    親子体験講座の受講者作品

3.05.2009

『ふかふかのマイ座布団できたよ!』 ~まちかど博物館 座布団づくり講座~

 2月8日と15日の全2回にわたり『まちかど博物館 いざ!手仕事の達人に親子で弟子入り!第2弾』が開催され、2組の親子が参加して座布団づくりに挑戦しました。
 今回の達人は、諏訪町にある『金山ふとん店』さんの金山社長さんと、妹の松沢登喜子さんです。

 初回は、金山さんに布団と睡眠のことについてお話をしていただきました。
「寝る事は生活の一部です。布団は、自分が明日元気になるための道具なんです。綿も産地によって手触りが全然違うんですよ。」
 と見せていただいたのは、テキサス綿、天津(テンシン)綿、メキシコ綿etc・・・
 子どもたちは綿を触って感触を確かめます。弾力のあるもの、ふわふわしたもの、ちょっと色が濃いもの。一般的に売られている化学繊維から出来た綿とは全く違う、思わずほおずりしたくなるような気持ち良さです。
 綿打ち(布団などの中の綿を細かく繊維にして再生すること)は、今は機械作業だけれど、手作業だったときの昔の道具も見せてくれました。
 お話のあと、松沢さんが、座布団を実際に作って見せてくれました。松沢さんはあっという間に手早く作り上げましたが、見ていた親子の顔には何となく「難しそう・・・」の文字が・・・

 2回目は、東野公民館で、座布団作りに挑戦です。
 ふかふかの触り心地の幻の綿「天津綿」を使って、松澤さんと金山さんが丁寧に教えてくれました。難しいところはお母さんに手伝ってもらいながら、子ども達が作りあげていきます。
 まずは綿を手で切る作業ですが、松沢さんが「手だけを使うんじゃなくて、足も踏ん張ってみて」と子どもたちに声をかけます。慣れない姿勢に(女の子たちなので・・・)ちょっと恥ずかしそうでしたが、作っているうちに夢中になってきたようです。
 綿を重ねていくごとに、手早く作業ができるようになりました。
「少しくらい形が崩れても、綿はまた直せるから大丈夫。」
 と松沢さん。だんだん四角く、座布団の形らしくなってきました。あらかじめお母さんたちが縫ってきてくれた布に綿を入れて、いよいよ完成間近です。
 布の口を縫う作業は、子どもたちも苦労したようですが、松沢さんの「大丈夫、大丈夫。出来るよ。」の言葉と、お母さんにもちょっと力をもらって、2人とも頑張って、最後まで作り上げました。
 出来上がった座布団は、「クッションみたい」と子どもが言うくらい、ふかふかです。「おばあちゃんに作ってあげたい」と話している子もいました。出来上がったばかりのマイ座布団に座り、みんなで記念撮影です。

 次回は3月下旬に提灯(ちょうちん)づくり講座を予定しています。
 伝統の職人技を次世代を担う子ども達へ残していき、親子で飯田の良さを再発見してもらいたい、と始まった『まちかど博物館』事業も今年度3年目となり、4月初旬には、飯田美術博物館の市民ギャラリーに、職人さんの技や作品、親子講座の様子などを紹介する展示をする予定です。
 手仕事の達人たちの魅力を、ぜひ親子で観に来てください。

3.04.2009

『自分の可能性に自分で限界を作らない!』

 3月1日(日)飯田勤労者体育センターに於いて、
『平成20年度TOKYO●2016フォーラム「みんなのオリンピック」~ボクらの街にオリンピックがやってくる!~』
 が、飯田市スポーツ少年団大会と併せて開催されました。

 オリンピック・ロサンゼルス大会で銅、アテネ大会で銀メダルを獲得されたアーチェリーの山本博さんと、パラリンピック北京大会・走り幅跳び銀メダリストの山本篤さんをお招きし、お話を聞けるとあって、子どもたちはもちろん付き添いのお父さん・お母さん、指導者の期待も膨らみます。
 始め緊張気味だった会場も、オリンピックに関わるクイズが始まる頃には大変な盛り上がり。正解者は、オリンピック招致のロゴ(飯田にゆかりの深い水引)入り手ぬぐいがもらえると知り、子どもたちはいかにして自分を当ててもらおうかと、肩車をしたり着ていたジャンバーを振ったり、出題者の両山本さんにアピ-ルします。(後で山本博さんより、「久々にこんな元気な子どもたちに会った!楽しかった!」とお褒めの言葉をいただきました。)

 続いて山本博さんの指導のもと、会場が一体となってストレッチ体操を行い、ストレッチがけがの予防にもなり大切であること、正しいやり方で準備体操やトレーニングをしていくと練習効果があがることを教えていただきました。
 残念ながら出場はできなかったけれど、取材で行った北京オリンピックで見た北島康介選手を例にあげ、「期待の中で成績を出すのは大変なこと。周りの人以上に本人(北島選手)の方が自分自身に期待をしたから、自信と強い信念でプレッシャーに負けず結果を出すことができた。」「スポーツは、どんなに練習したからといって絶対勝てるということがないから素晴らしい。だからこそ練習課程が大切!」と教えてくださいました。

 山本篤さんは、日常用の義足を競技用の義足に付け替えるところから、子どもたちに示してくださいました。山本さんを丸く取り囲み、目の前で競技用の義足が付けられ、体育館の端から端を走り抜ける山本さんの姿を間近で見た子供たち!!
「自分の可能性に自分で限界を作らないで欲しい!」と結んだ山本さんの言葉と共に、子どもたちはしっかりと目と心で何かを刻んだことと思います。

 家に帰って今日の体験を、お家の方にどう伝えるのでしょう。日々の練習で辛い時、日常で悲しいことがあった時、今日の両山本さんの姿が大きな力となってくれると思います。

 体育館の後ろで山本篤さんのご両親とお兄さん方が、息子(弟)の姿を見守ってくださっていました。わざわざ浜松から飯田を訪れてくださった山本さんのご家族にとっても、このフォーラムが『わが家の結いタイム』となってくれたこと、こうした家族の支えがメダリストを育てたのだと改めて感じさせてもらいました。

 いつの日か、飯田の地からも…。

2.10.2009

つみきをつくろう!

 2月7日(土)鼎図書館において、工房菜や(ななや)の水上雅彦さん・ひろみさんを講師に「つみきをつくろう」講座が開催されました。
 17組の親子・祖父母が集まり、(定員オーバーで10組以上お断りするという盛況ぶりでした。)菜やさんの用意してくださった5cm角10種類の木片を広げ、さっそく積み上げたり匂いを嗅いだり、何も言わなくても子どもたちは遊び始めました。
 おばあちゃんに連れてきてもらったKちゃん(2才)も、上手に積んで遊びます。
 図書館の方に絵本『つみきでとんとん』を読んでいただき、益々積み木遊びへの意欲が高まったところで、サンドペーパーでとがった角をこすりながら、菜やさんに木の種類を教えていただきます。
「檜(ヒノキ)はね、少しこするとお風呂の匂いがするよ!」
「ちょっと緑っぽいのが朴(ホオ)の木。木版画をした時に使った木です。」
「ちょっと重たくて、赤っぽいのが桜の木。」
「楢(ナラ)は重くて木目がよく見えます。」
 菜やさんの説明を聞き、参加者の皆さんは真剣に捜します。
「教えてくださ~い!これですか?」と夢中です。
 どの木もこの辺の山にある木とのこと。
「それぞれ重さも固さも違う木を、昔から用途に応じてちゃんと使い分けていたんですね!」
 と水上さん。今では山に入ることも、木に触れることもほとんどない私たちに、水上さんは、まず木に触れ木目を見て、香りをかぎ、感触を味わうことから、身近な山や木のこと、手作りする楽しさをさりげなく伝えてくださいました。
 お母さんと一緒に参加した上郷小学校1年のK君。木の種類を鉛筆で書いたり、角をこすったり、終わる頃にはただ積み上げるだけでなく、お母さんと交替で積み“落としたら負けー!”ゲームに遊びを発展させていました。
「小学生になって、この頃はあまり一緒に遊ばないな・・・」と話すお母さんと、今日はしっかりふれ合うことができました。
 シンプルで自然なものは、年齢に関係なく、気が向いた時にいつでも取り出して遊ぶことができます。
 K君、10種類の木が、実際に山や自分たちの周りで生きている姿に、いつか出会えるといいネ!

2.05.2009

『キャリア教育は、生涯を見通した教育』

 1月23日、飯田人形劇場に於いて、『飯田市キャリア教育推進フォーラム ~大人への一歩 社会へ挑戦~ 』が開かれました。
 5日間の職場体験学習を経験した飯田西中学校2年生の生徒が、受付、舞台の配置転換、司会を担当。直前までリハーサルを積み、そしていよいよ本番を迎えました。
 受付を担当した生徒は、「お迎えする」というおもてなしの心を込めて、来場者にハキハキと声をかけています。
 体調を崩してしまった生徒のピンチヒッターとして、急遽加わった生徒もいました。リハーサルではどう動いていいかわからない様子でしたが、本番では整然と協力して指示されることなく配置転換をこなしています。
 司会者の生徒2名は、130人余りの参加者をまっすぐみつめ、背筋を伸ばし、堂々と一つ一つの言葉を大切にしながら会場中に響かせています。
 生徒一人一人が、今の自分の役割をしっかり認識し主体的に動いている。見ている大人も圧倒される程の“自信に満ちた姿”がそこにあり、まさにこれこそが「キャリア教育」のねらいであると再認識させてもらいました。

 飯田西中学校では、5日間の職場体験の事前・事後学習を大切にしています。自分が何を学びたいのか、何に挑戦するのか、明確にすることで自分をみつめ、丁寧に振り返り、友だち同士発表し合うことで学んだことがより自分のものとなり、友だち同士励まし認め合うきっかけにもなっています。
 フォーラムの前半では『自分の将来に向けて』と題し、6名の飯田西中学校の生徒が自分の言葉で体験発表をしました。
「自分にとって働くとは・・・」
・協力し合うこと
・いないと困る人になること
・人の役に立ち、自分も楽しくなること
・自分の長所を存分に発揮すること・・・そのために自分の個性をたくさんみつける。
 日々忙しく働く私たち大人も、改めて大切なことに気づかせてもらいました。同時に、生徒たちの発表から、5日間という大変だったけれど貴重な体験から学びとり、そこからみえてきた自分の課題に向けて、一日一日を大切に勉強していこうという意欲が伝わってきました。

 続いて、千葉大学教授「上杉賢士」先生の基調講演です。
 上杉先生が、とあるキャリア教育に関するフォーラムに参加され、パネリストとして参加していた著名人の発言をご紹介いただくことから始まりました。
 そして、自分の将来をしっかり歩いていくためには、「自分てステキ! 自分て大切!」という自尊感情をエンジンにして、「自分のことは自分で決める」という判断力をハンドルにして、歩くことが大切である。この2つを、小さなうちからしっかりと育てていくことが大切であるということを教えていただきました。
 そのためには、子供たちが家庭と学校だけではなく、いろいろな人と関わり体験することが大切である。殊に職場体験学習については、仕事や職場というリアルな場所で多様な人間関係を体験することができる貴重な体験機会であることを強調されながら、
「「働く大人って美しい!」と実感させてやってください。「大人ってすごいな!」って圧倒してください。」
 と主張されました。そして、「少年は、必要とされてはじめて大人になる。あなたがいてくれてよかったと伝えてあげれば、若者は元気になる。「キャリア教育」とは「=生涯教育」である。」とまとめていただきました。
 課題の多い現代だからこそ、子どもたちの何を育てることが大人の、そして社会の役割なのか。考えるきっかけをいただいたように思います。

 最後のパネルディスカッションでは、パネリストの面々の本音をお聞きすることができました。
 5日間の子供の変化が見て取れて非常に良かったという保護者の立場からの感想や、職場体験の中で「世に出ると学問が必要だよ。今の勉強が将来きっと役に立つよ。」ということを見せてあげたという会社の社長さんのお話がありました。
 一方で、5日間の職場体験の効果や意味はわかるが、大人数ゆえにどうしてもできないという大規模校の事情や、「全員が一律に5日間やれというのは無理。ゆるやかな個々の対応が必要なのでは・・・」という会場からの意見もあり、これからのキャリア教育の進め方について、改めて考える必要があることを確認できました。

 会場中の大人が、飯田の未来を担う頼もしい中学生に、心の中で温かなエールを送りながら進められてきたこのフォーラムも、成功裏に終演を迎えました。
 私たち大人は、子どもたちに「かっこいい」「すごいな」「圧倒される」と思われているのでしょうか。次代を担う子どもたちのために、自分にできることは何なのか。改めて問い、自身の姿勢を正されるフォーラムであったように思います。

2.03.2009

未来の“マイスター”は君だ!!

 1月17日土曜日、シチズン平和時計で、『未来の“マイスター”は君だ!』が開催されました。昨年秋の旭松食品㈱の納豆づくり体験に続き、今年度2回目のスーパーサイエンス推進事業です。
 時計の仕組みや時計作りに触れて「マイスター」と呼ばれる熟練した時計職人さんに少しでも近づいてみよう、という企画です。親子15組が参加しました。

 まずは、会社の概要や時間・時計についての勉強をしました。
 今年で還暦を迎えたシチズン平和時計㈱。この工場では、「エコドライブ」と呼ばれる光で動く地球に優しい時計を作っているそうです。省エネ・省資源・省スペースといった取組みも徹底されていて、本気で地球環境を考えながら時計づくりをしている会社なんだということがわかりました。
 時間・時計の勉強では、最近よくお店でも目にするようになった「電波時計」のお話もありました。常に正しい時を刻むことができる電波時計。その正しい時刻の電波を発信している電波塔が、世界には5つあるそうですが、そのうち2つは日本の福島県と佐賀県にあるということでした。

 次に工場内を案内していただきました。さすが大企業です。工場内は広くてとてもキレイでした。特にマイスターさんたちの作業所は、ゆったりとしたスペースでとてもキレイです。マイスターさんが作る高級腕時計は、機械では作れない、とても細かい作業の積み重ねで作りあげるとの事。数ミリの小さなネジを、ピンセットで正確にはめていきます。見ていると気の遠くなるような作業ですが、マイスターさんたちは、すばやく正確に時計を仕上げていきます。
「マイスターさんって女性が多いんですね」
「うちはもともと女性が多かったんですが、やはり細かい作業は女性の方が向いているんですよ」と従業員さん。
 マイスターさんの一人に
「細かい作業で大変ですね」と言うと、
「やはり目が疲れますね。作ってる時計はいいものですから、ずっと長く持てますよ。」といいながら、腕にはめている時計を誇らしげに見せてくれました。
 機械にも出来ない細かい作業は人の手で作るなんて、やっぱり人の手ってすごいですね。

 時計のベルトになるワニ皮も子どもたちに触らせてもらいました。
「うえ~っ」といいながらも、ワニの形をした皮を持ち上げてまじまじと見つめる子どもたち。
 機械で時計を作っている作業所では、目の回るような速さで機械が時計を作り上げていきます。子ども以上に身を乗り出しているお父さんも・・・。
「1日に、この機械でどのくらいの時計ができると思いますか?」
「1,000個」「もう一声!」「1億個!」
「それは多すぎるかな。正解は、10万個です。飯田市の人口と同じだけ作れるんだよ。」
「・・・」子どもたちはあまりピンとこないようですが、大人は「へエ~」

 見学の後は、親子で時計の組み立てに挑戦です。女性マイスターさんたちが席を回って、分からないところを見てくれます。親子で顔を寄せ合い、時計を作り上げていきます。時折「こうだよね」と顔を見合わせてはにっこり。
 マイスターさんが時計を横から見ては、「金属片が少し外に出てるね。きちんと入れてみて」などと丁寧に教えてくれます。言われた通りにきちんと子ども達ができると、マイスターさんは「そうそう、上手だよ。」と優しい笑顔で応えます。褒めてもらって、子どもだけでなく、お父さんお母さんもうれしそうでした。

 最後に参加者の皆さんに書いていただいたアンケートからも、特に電池交換の体験が印象に残ったようです。こんなに細かな部品がたくさん使われているなんて知らなかったと・・・

 電池交換が終わり、動くようになった時計は記念にお持ち帰りです。小さな未来のマイスターたちは満足そうに、今日1日の思い出も一緒に持ち帰っていきました。

1.21.2009

「家にも、はた織り機があるといいなー!」

まちかど博物館事業 ― 小学校高学年 親子体験講座 「手仕事の達人にいざ弟子入り」第1弾 裂き織り体験』が終了しました。
 10月5日から11月15日の間に、5回に分けて5組10名の親子が講師の田中百合子さんご指導のもと、じっくりと時間をかけて古い布を裂いた糸を織り、お気に入りのランチョンマットを製作。見事に、一人一人味わいの違う作品となりました。

 ここに参加者の皆さんの“声”を紹介します。

------ 参加児童の日記より ------

「楽しかったさき織り体験」
 今日、さき織り体験をやりました。さき織りを教えてくれた講師の方は、田中百合子先生です。
 さき織りとは、ぬのを5㎜ほどのはばにさき、それをはたおり機で織ります。
 私は、さき織りでランチョンマットを作りました。あいいろを主に織り、部分的に赤・こん・黄色の組み合わせのぬのを入れて織りました。
 完成してみて思ったことは、3色の組み合わせのぬのが、花火のように見えてきれいでした。お母さんのは、全部同じもようで織っていたので、かわいいでした。
「自分の家にもはたおり機があればなー」と思いました。これからも、さき織りをやってみたいです。

「10月17日 月曜日 晴れ」
 おととい裂き織り講座に行きました。私は裂き織りをした事が無かったので、とっても楽しみでした。
 私は赤色の中に、ところどころにこん色をまぜたポシェットを作ろうと思いました。教えて下さった田中百合子さんのを見ていると、どんどん進んでいってかんたんに見えるようですが、さいてきたボロ布の長さを調節したり、足をかえたりするのが大変でした。やり方は足のかた方を強くふみ、布をななめに通して、足のおす右左をかえておくにあるのを「トントン」とし、ななめに布をつめていく、これのくりかえしです。
 最初は手まどってしまいました。でも、やっていくうちに、なれてきてこつがつかめてきたので、やっていくのが楽しくなりました。それに、百合子さんやスタッフさんが
「きれいだね。」
「そうそう。うまいね。上手だね。」
 などと言ってくれたので、うれしくて、もっと楽しくなりました。
 出来あがってみると、とってもキレイです。これにお母さんが続けて作っていく事になります。とってもキレイなポシェットができると思うとうれしいです。そして最後に結ぶ結び方を教わりました。すぐに覚えられたので良かったです。とっても楽しかったので、またやりたいなと思いました。早くキレイなポシェットを使いたいです。
------ お母さん方のアンケートより ------

・「子どもに教えてもらいながら」楽しく、講師の田中さんの優しさに包まれながら作品を作ることができました。子どものやる気や積極的な姿を知ることもでき、とても充実した時間・機会・出会いをいただけました。
・“裂き織り”を通じ“物を作る”こと以上に“物をムダにしない。最後まで大切に使いきる。”という田中さんの精神が子どもに伝わったように思います。
・布を選ぶところから「こうしてみたい。ああしてみたい。」と子どもが夢中になっている姿を嬉しく思い、私も夢中になって作ることができました。
・“裂き織り”の指導だけでなく、作りながら、お茶をいただきながら、お聞きした人生訓が、心に残りました。田中さんの指導のしかた「そうです。そうです。上手にできたわねェ~。」声がけの中から学ぶことも多かったです。
------ 講師の田中百合子さんより ------

「一生懸命やらせていただきました。子どもさんは可能性のかたまり。誉めて育てたい。いい親子さんの姿に、私自身“喜び”と“力”をもらいました。ありがとうございました。」

 田中さんと受講者さんの心と心が通い合う、ほのぼのと温かいぜいたくな時間を、丁寧に丁寧に積ませていただいた本講座。
 受講者さんの小学校には、写真を掲示することで、雰囲気を感じたり、“裂き織り”を知っていただくきっかけにしていただきました。
 年度末には、皆さんの作品を市役所ロビーに展示し、市民の皆さんにも見ていただきたいと思います。

1.05.2009

『飯田の地でつながろう!子育て仲間!』 ~第5回みんなで子育てパワーアップ講座~

 12月18日(木)に、第5回みんなで子育てパワーアップ講座が開催されました。7月1日に第1回目を迎えてから、今回が今年度最終回となりました。
 少し肌寒い曇りの日でしたが、大勢の方に参加いただきました。

 今回は、飯田市公民館の社会教育指導員の大澤さんに進行を務めていただき、「飯田の地でつながろう!子育て仲間!」をテーマに、グループワークを行いました。
 まずは「ブラジルの手遊び」で体をほぐしたあと、これまでの講座で1番印象的だったことを受講生に書いてもらい、ペアトークをしました。
 広岡守穂先生の講座での「妻の自分育てを夫がバックアップする」という言葉が印象に残った人、市川望美先生の「今できることをする」「子育てはハンディじゃなくキャリア」と書いた人、本村栄次先生の「人を尊重する基本は聞く事」「逆転の発想」など、受講生にとって印象に残った言葉はさまざまですが、自分の子育てや人生に響いた言葉は確実にあったようです。

 次に、グループづくりです。自分のニックネーム(名前が連想できないもの)を書き、大澤さんがニックネームでペアを発表し、相手を探すというユニークな方法です。
 「○○さんと△△さん」「■■さんと☆☆さん」。
 みんな自分のペアがどんな人だろうと、ドキドキです。相手を探しあてたところで、数組が集まってグループを作りました。
 次はグループ名の決定です。「森のプーさん」「キャンディーズ」などのかわいい名前のほかにも「マンモズ」や「ザ・ドリフターズ」なんてのもありました(;^▽^)。
 みんなで「自分の得意なこと」を出し合ったあと、「子育てをパワーアップする企画」をグループごとに考え、模造紙にまとめました。企画を考えるというのは、なかなか難しいものですが、先ほど書いた自分の得意分野を活かして、みんなでアイデアを出し合いました。
 絵が得意な人、スポーツが好きな人、お笑いが好きな人など、企画の随所に盛り込まれています。遊びのコーナーがいっぱいのイベント『ふれあいぽんぽこ広場』、家族みんなで楽しめるテレビ番組『トトロテレビ』、親子でキャンプを楽しむ『子育てパワーアップキャンプ』などなど、短時間でしたが、みんなの多才なアイデアが満載の楽しい企画が出来上がりました。
 「これ面白そうだね!」「絵が上手いな~」
 お互いの企画に感心したり笑ったりして、みんなで品評会(?)です。

 今年度初めての講座の開催で、当初は講師の選定や、受講者が集まるか不安がいっぱいのなかで始めましたが、子育てのヒントがほしい、仲間を作りたい、地域の役に立ちたいと思っている多くの方に関心を持って参加いただくことができました。うれしくもあり、行政の役割の責任も感じました。
 この講座が少しでも皆さんの役に立って、さらなるパワーアップに繋がれば、うれしく思います。
「今できることから始めよう」の気持ちを大切に、来年度の講座へつないでいけたら、と思います。