2.10.2009

つみきをつくろう!

 2月7日(土)鼎図書館において、工房菜や(ななや)の水上雅彦さん・ひろみさんを講師に「つみきをつくろう」講座が開催されました。
 17組の親子・祖父母が集まり、(定員オーバーで10組以上お断りするという盛況ぶりでした。)菜やさんの用意してくださった5cm角10種類の木片を広げ、さっそく積み上げたり匂いを嗅いだり、何も言わなくても子どもたちは遊び始めました。
 おばあちゃんに連れてきてもらったKちゃん(2才)も、上手に積んで遊びます。
 図書館の方に絵本『つみきでとんとん』を読んでいただき、益々積み木遊びへの意欲が高まったところで、サンドペーパーでとがった角をこすりながら、菜やさんに木の種類を教えていただきます。
「檜(ヒノキ)はね、少しこするとお風呂の匂いがするよ!」
「ちょっと緑っぽいのが朴(ホオ)の木。木版画をした時に使った木です。」
「ちょっと重たくて、赤っぽいのが桜の木。」
「楢(ナラ)は重くて木目がよく見えます。」
 菜やさんの説明を聞き、参加者の皆さんは真剣に捜します。
「教えてくださ~い!これですか?」と夢中です。
 どの木もこの辺の山にある木とのこと。
「それぞれ重さも固さも違う木を、昔から用途に応じてちゃんと使い分けていたんですね!」
 と水上さん。今では山に入ることも、木に触れることもほとんどない私たちに、水上さんは、まず木に触れ木目を見て、香りをかぎ、感触を味わうことから、身近な山や木のこと、手作りする楽しさをさりげなく伝えてくださいました。
 お母さんと一緒に参加した上郷小学校1年のK君。木の種類を鉛筆で書いたり、角をこすったり、終わる頃にはただ積み上げるだけでなく、お母さんと交替で積み“落としたら負けー!”ゲームに遊びを発展させていました。
「小学生になって、この頃はあまり一緒に遊ばないな・・・」と話すお母さんと、今日はしっかりふれ合うことができました。
 シンプルで自然なものは、年齢に関係なく、気が向いた時にいつでも取り出して遊ぶことができます。
 K君、10種類の木が、実際に山や自分たちの周りで生きている姿に、いつか出会えるといいネ!

2.05.2009

『キャリア教育は、生涯を見通した教育』

 1月23日、飯田人形劇場に於いて、『飯田市キャリア教育推進フォーラム ~大人への一歩 社会へ挑戦~ 』が開かれました。
 5日間の職場体験学習を経験した飯田西中学校2年生の生徒が、受付、舞台の配置転換、司会を担当。直前までリハーサルを積み、そしていよいよ本番を迎えました。
 受付を担当した生徒は、「お迎えする」というおもてなしの心を込めて、来場者にハキハキと声をかけています。
 体調を崩してしまった生徒のピンチヒッターとして、急遽加わった生徒もいました。リハーサルではどう動いていいかわからない様子でしたが、本番では整然と協力して指示されることなく配置転換をこなしています。
 司会者の生徒2名は、130人余りの参加者をまっすぐみつめ、背筋を伸ばし、堂々と一つ一つの言葉を大切にしながら会場中に響かせています。
 生徒一人一人が、今の自分の役割をしっかり認識し主体的に動いている。見ている大人も圧倒される程の“自信に満ちた姿”がそこにあり、まさにこれこそが「キャリア教育」のねらいであると再認識させてもらいました。

 飯田西中学校では、5日間の職場体験の事前・事後学習を大切にしています。自分が何を学びたいのか、何に挑戦するのか、明確にすることで自分をみつめ、丁寧に振り返り、友だち同士発表し合うことで学んだことがより自分のものとなり、友だち同士励まし認め合うきっかけにもなっています。
 フォーラムの前半では『自分の将来に向けて』と題し、6名の飯田西中学校の生徒が自分の言葉で体験発表をしました。
「自分にとって働くとは・・・」
・協力し合うこと
・いないと困る人になること
・人の役に立ち、自分も楽しくなること
・自分の長所を存分に発揮すること・・・そのために自分の個性をたくさんみつける。
 日々忙しく働く私たち大人も、改めて大切なことに気づかせてもらいました。同時に、生徒たちの発表から、5日間という大変だったけれど貴重な体験から学びとり、そこからみえてきた自分の課題に向けて、一日一日を大切に勉強していこうという意欲が伝わってきました。

 続いて、千葉大学教授「上杉賢士」先生の基調講演です。
 上杉先生が、とあるキャリア教育に関するフォーラムに参加され、パネリストとして参加していた著名人の発言をご紹介いただくことから始まりました。
 そして、自分の将来をしっかり歩いていくためには、「自分てステキ! 自分て大切!」という自尊感情をエンジンにして、「自分のことは自分で決める」という判断力をハンドルにして、歩くことが大切である。この2つを、小さなうちからしっかりと育てていくことが大切であるということを教えていただきました。
 そのためには、子供たちが家庭と学校だけではなく、いろいろな人と関わり体験することが大切である。殊に職場体験学習については、仕事や職場というリアルな場所で多様な人間関係を体験することができる貴重な体験機会であることを強調されながら、
「「働く大人って美しい!」と実感させてやってください。「大人ってすごいな!」って圧倒してください。」
 と主張されました。そして、「少年は、必要とされてはじめて大人になる。あなたがいてくれてよかったと伝えてあげれば、若者は元気になる。「キャリア教育」とは「=生涯教育」である。」とまとめていただきました。
 課題の多い現代だからこそ、子どもたちの何を育てることが大人の、そして社会の役割なのか。考えるきっかけをいただいたように思います。

 最後のパネルディスカッションでは、パネリストの面々の本音をお聞きすることができました。
 5日間の子供の変化が見て取れて非常に良かったという保護者の立場からの感想や、職場体験の中で「世に出ると学問が必要だよ。今の勉強が将来きっと役に立つよ。」ということを見せてあげたという会社の社長さんのお話がありました。
 一方で、5日間の職場体験の効果や意味はわかるが、大人数ゆえにどうしてもできないという大規模校の事情や、「全員が一律に5日間やれというのは無理。ゆるやかな個々の対応が必要なのでは・・・」という会場からの意見もあり、これからのキャリア教育の進め方について、改めて考える必要があることを確認できました。

 会場中の大人が、飯田の未来を担う頼もしい中学生に、心の中で温かなエールを送りながら進められてきたこのフォーラムも、成功裏に終演を迎えました。
 私たち大人は、子どもたちに「かっこいい」「すごいな」「圧倒される」と思われているのでしょうか。次代を担う子どもたちのために、自分にできることは何なのか。改めて問い、自身の姿勢を正されるフォーラムであったように思います。

2.03.2009

未来の“マイスター”は君だ!!

 1月17日土曜日、シチズン平和時計で、『未来の“マイスター”は君だ!』が開催されました。昨年秋の旭松食品㈱の納豆づくり体験に続き、今年度2回目のスーパーサイエンス推進事業です。
 時計の仕組みや時計作りに触れて「マイスター」と呼ばれる熟練した時計職人さんに少しでも近づいてみよう、という企画です。親子15組が参加しました。

 まずは、会社の概要や時間・時計についての勉強をしました。
 今年で還暦を迎えたシチズン平和時計㈱。この工場では、「エコドライブ」と呼ばれる光で動く地球に優しい時計を作っているそうです。省エネ・省資源・省スペースといった取組みも徹底されていて、本気で地球環境を考えながら時計づくりをしている会社なんだということがわかりました。
 時間・時計の勉強では、最近よくお店でも目にするようになった「電波時計」のお話もありました。常に正しい時を刻むことができる電波時計。その正しい時刻の電波を発信している電波塔が、世界には5つあるそうですが、そのうち2つは日本の福島県と佐賀県にあるということでした。

 次に工場内を案内していただきました。さすが大企業です。工場内は広くてとてもキレイでした。特にマイスターさんたちの作業所は、ゆったりとしたスペースでとてもキレイです。マイスターさんが作る高級腕時計は、機械では作れない、とても細かい作業の積み重ねで作りあげるとの事。数ミリの小さなネジを、ピンセットで正確にはめていきます。見ていると気の遠くなるような作業ですが、マイスターさんたちは、すばやく正確に時計を仕上げていきます。
「マイスターさんって女性が多いんですね」
「うちはもともと女性が多かったんですが、やはり細かい作業は女性の方が向いているんですよ」と従業員さん。
 マイスターさんの一人に
「細かい作業で大変ですね」と言うと、
「やはり目が疲れますね。作ってる時計はいいものですから、ずっと長く持てますよ。」といいながら、腕にはめている時計を誇らしげに見せてくれました。
 機械にも出来ない細かい作業は人の手で作るなんて、やっぱり人の手ってすごいですね。

 時計のベルトになるワニ皮も子どもたちに触らせてもらいました。
「うえ~っ」といいながらも、ワニの形をした皮を持ち上げてまじまじと見つめる子どもたち。
 機械で時計を作っている作業所では、目の回るような速さで機械が時計を作り上げていきます。子ども以上に身を乗り出しているお父さんも・・・。
「1日に、この機械でどのくらいの時計ができると思いますか?」
「1,000個」「もう一声!」「1億個!」
「それは多すぎるかな。正解は、10万個です。飯田市の人口と同じだけ作れるんだよ。」
「・・・」子どもたちはあまりピンとこないようですが、大人は「へエ~」

 見学の後は、親子で時計の組み立てに挑戦です。女性マイスターさんたちが席を回って、分からないところを見てくれます。親子で顔を寄せ合い、時計を作り上げていきます。時折「こうだよね」と顔を見合わせてはにっこり。
 マイスターさんが時計を横から見ては、「金属片が少し外に出てるね。きちんと入れてみて」などと丁寧に教えてくれます。言われた通りにきちんと子ども達ができると、マイスターさんは「そうそう、上手だよ。」と優しい笑顔で応えます。褒めてもらって、子どもだけでなく、お父さんお母さんもうれしそうでした。

 最後に参加者の皆さんに書いていただいたアンケートからも、特に電池交換の体験が印象に残ったようです。こんなに細かな部品がたくさん使われているなんて知らなかったと・・・

 電池交換が終わり、動くようになった時計は記念にお持ち帰りです。小さな未来のマイスターたちは満足そうに、今日1日の思い出も一緒に持ち帰っていきました。