飯田市には、300年以上地元に伝承されてきた「今田人形」「黒田人形」があります。
8月8日中央公民館に於いて『受け継がれてゆく伝統人形芝居IN飯田』と題して、いいだ人形劇フェスタ2008特別集合公演が行なわれ、飯田市立三穂小学校人形劇クラブ『みほっこ』・高陵中学校黒田人形部・竜峡中学校今田人形座が出演しました。
三穂小「みほっこ」は、今田人形座の指導を受け4~6年の6名の部員が心を一つにして二体の人形を操り、「今田人形・寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」を演じました。
高陵中学のS・K君はおじいちゃんが、Y・S君はお兄さんが「黒田人形」をやっているそうで、小さい頃から「黒田人形」に触れ親しんできたことから、自然に人形部に入ったそうです。「傾城阿波の鳴門(けいせいあわのなると)」で母子の心の葛藤を、情感豊かに人形のちょっとしたしぐさの中に表現していました。
“ジュニアの部”の締めは、竜峡中学校今田人形座「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)-政岡忠義の段(まさおかちゅうぎのだん)-」です。42名が総合学習の中で人形遣い、義太夫を学び、特に義太夫は95歳で現役の金井美昇(金井はま子さん)の指導を受け、堂々と表情豊かに表現することができました。
T・F君は「先輩がやっているのを見てすごいなーと思った。」と言います。先輩から後輩に、真剣に向かう姿もちゃんと伝承されていきます。
幕間には、八王子車人形五代目 西川古柳氏の解説が入り、人形浄瑠璃や内容の理解が深まりました。それによると、人形は神様と人間の間を行き来するもの。強く足踏みすることで悪霊をはらうという意味があるそうで、公演後の演者へのインタビューの際「上手に踏めていましたよ!」とお褒めの言葉をいただきました。小学生中学生それぞれに照れながらも「人形は重いけど頑張ってできました!」「頭の動かし方がむずかしい。」「役の特徴をつかんで太夫もやりたい。」「これからもできる演目を増やしていきたい。」と力強い言葉を聞くことができました。
八王子より参加した八王子市立由井中学校三味線部は、八王子車人形を伝承している中学OBの高校1年の若者たちです。飯田の小・中学生の公演の感想を聞くと、「三人遣いは左手が使えてなめらかに動けていいな~。」「車人形は一人で一体を操るため人形の左手は使えず、不自然な格好でやるから終わると筋肉痛ですよ!」
形態の違いはあっても同世代の子ども・若者たちが、地域の芸能後継者として人形浄瑠璃を伝承していきます。今回のように互いの公演を見合い交流することで、より見聞を広め磨きをかけ、そのことにより飯田の大切な文化が益々発展していってくれるのだと思います。
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