風越山の林の現状をこの目で見て、自分たちも何かをしたい、と痛切に感じた生徒たちは、「風越山を守るために自分たちにできること」を実践することに決めました。
まずは、間伐作業の見学を行いました。間伐とは林の木を伐採し、木と木の間隔を広げることです。森林組合の方々は、切り込みを入れたりワイヤーを張って、安全な方向に木を切り倒します。
-「間伐をするには高い技術が必要で、工夫していてすごかった。木を1本切るだけで明るくなり陽が当たるようになった。」(生徒感想)
-「特に山頂付近の場所がひどいと思った。完璧に間伐し調整するのは大変なことだ。」「適正な状態の林が、多くはないけれど存在している事実があるので少し安心した。」
風越山周辺の獣害調査も行われました。猿はりんごや梨の果樹を食べてしまい、イノシシは土を掘り返してしまうことを地元の方から聞きました。
-「動物が農作物を持っていってしまい、農業をやっている人がこのままやっていけるかわからないような状況だということに少しショックだった。」
また、薄暗い林を抜けて野生動物が麓におりてくるのは、人間による森林の手入れ不足も原因であるという現実も知りました。
-「間伐作業は、森林にとって必要なことなのに、なぜ充分行われないのだろう。」
生徒たちの考察は続きます。
一つ目の理由は、海外の安い材木に押され、国産材は儲けにならないということ、そしてもう一つの理由は、林業の仕事の過酷さゆえ後継者が不足していること。
-「では、自分たちに今できる「ボランティア」とは-?」
地元の保全団体の方々と共に、間伐、枝打ち、作業道の整備を行いました。どれも重い道具を使ったり、危険な斜面での仕事であったり。地元で日頃作業をしている方々の苦労を身をもって体験すると共に、地域の人々に守られている山であることを皆実感したのでした。
プロジェクトのまとめとして3年生の皆さんは、将来の風越山の理想の姿を考えました。
飯田の街にいつまでも豊かな水を供給してくれる山。
獣害が解決し、人間と動物が共存できる山。
安心して農業ができ、安心して登山できる山。
皆さんはどう思われますか?風越山を守り続け、身近な自然と共存していくために、一人一人にできることは何でしょうか。西中3年生の取り組みは強く私たちに問いかけています。
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