2月16日(土)。ところは飯田市下殿岡のシチズン平和時計㈱本社。集まったのは市内の親子13組、計29人です。
講堂でのオリエンテーションの後、まずは会社の方からシチズン平和時計㈱の歴史や製品の説明をお聞きしました。
シチズン平和時計は今年で59歳。敗戦後の農村に誕生し、平和で豊かな地域社会を願って「平和時計」と名づけられたそうです。「シチズン」といえば誰もが「腕時計」を思い浮かべますが、学校・会社などに設置されているような親子時計も製作しているとのことです。また、時計のほかにも業務用として使われる超高画質のカラープリンターも製作しているとの紹介がありました。
1秒間に32,768回振動するという水晶振動子。これをICによって15回分周し作り出される1秒という時間。これを電気磁石に伝え、1秒間に1回N極とS極を反転させて歯車を回します。これに秒針・分針・時針の針を文字板上で回転させ、目に見える形で表現しているのが時計なんだということがよくわかりました。
また、10万年に1秒の狂いしか生まれない原子時計をもとに、日本に2箇所ある電波送信所から発信される標準電波を受信することによって正確な時を刻む電波時計のお話など、会社の方のとてもわかりやすい説明に参加者一同真剣に聴き入りました。
今回特別に見せていただいたのは工場内3箇所。
1箇所は、1日15万個の時計を絶え間なく生産しつづける自動組立の生産ライン。ここに入る従業員は誰もが白衣に着替え、エアーシャワーで完全にほこりを落とさなくてはなりません。今回は特別にエアーシャワーの体験をさせていただきました。
「ここに入ると、みんな見違えるようにきれいになって出てこれるんだよ!」という会社の方の冗談に乗せられて、2回も体験する女の子もいました。
もう1箇所は、時計のベルトを取り付ける工程。一つ一つの高級時計に皮のベルトを手作業でテキパキと付けていく従業員さんの隣で、皮ベルトの原材料であるワニ皮を見せていただきました。本当にワニの形をしています。なんともグロテスクな皮を見て、「ワニだ・・・」とちょっと引き気味の雰囲気。1m近い大きなワニ皮からでもわずか10本程度しかベルトを取ることができないと聞き、参加者は貴重で高級なワニ皮を恐る恐る手で触っていました。
もう1箇所は、屋社4階にある南信州高級時計工房。ここではスーパーマイスターやマイスターと呼ばれる熟練工さんたちが、一つ50万円もするような超高級時計を一つ一つ手作業で組み立てています。
「社長より立派な机で作業しているんですよ。」という案内に、参加者の興味が机に・・・。確かに大きくて立派な机でした。
作業をしている手元の様子を直接見ることはできませんでしたが、モニターを通して見る限り、とてつもなく繊細な作業で、マイスターの皆さんが並大抵の技能ではないことがよくわかりました。
初めて触る本格的な修理用具の数々に戸惑う参加者。そこへ、あのスーパーマイスターやマイスターの皆さんが仕事を休めて来ていただき、参加者一人一人に対し、直々に丁寧な手解きをしていただきました。参加者の皆さんの真剣に時計に向き合うその姿は、正に“気分はスーパーマイスター”といったところでしょうか。
動かない時計の裏フタを慎重に開け、小さな部品の並ぶ時計の中身の、そのまた小さな電池を取り出し、交換し、再び時を刻み始めるのを見たその瞬間、感激した人も多かったようです。
全てのスケジュールを終えた参加者の皆さんは、電池交換をした時計をプレゼントにもらい、充実感いっぱいの顔で帰って行きました。
アンケートから参加者の感想を少しご紹介します。
(子ども)
・ワニ皮を触れた!
・電池がこんなに小さいとは思わなかった。
・時計の電池を替える時に時計の中が見れたのが一番印象に残りました。
・15万個の時計を作っていてすごいと思った。
・スーパーマイスターが1人で全作業をして時計を作るところがすごかった。
(大人)
・製品も大事ですが、大人達の働く姿もとても勉強になると思います。
・何週間も前から楽しみにしていました。
・マイスターの方々の現場には感激しました。
・自分の身近に立派な会社があるということがよくわかった。
・子どもにも本物の体験をさせてあげられて良かった。
教育委員会では、地域のすばらしい企業を一人でも多くの子供や親に知ってもらいたいと願い、このような体験講座を企画しています。今後も、こんな体験ができる機会を更に増やしていきたいと考えています。是非ご期待ください。
0 件のコメント:
コメントを投稿